滝さん。この人は、よくわからない。何を考えているのか・・・。
宍戸さんに負け、レギュラーから外されたときは、かなり悔しそうだったのに、次の日には普通に宍戸さんと話していた。・・・まぁ、これは元々仲が悪い2人ではなかったし、滝さんもレギュラー落ちしたことで人を恨むほど、愚かな人ではなかったし。
だが。マネージャーのに対する態度は読みきれない・・・。


「はい、先輩。ドリンクです。」

「ありがとう。いつもお疲れ。」

「いえいえ、仕事ですから!」


滝さんはドリンクを飲むと、に返した・・・のではなく、渡した。こう言いながら。


ちゃんも、飲む?」

「いえ!自分の分も、ちゃんとありますよ?」

「それはわかってるけど。今、喉が渇いてないかなぁと思ってね。」

「ありがとうございます!でも、大丈夫です。」

「そっか。」


そうして、滝さんは微笑んだ。・・・これが忍足さんや芥川さんなら、無理にでも飲ましていたのではないかと思う。そして、もっと危険な言い方や迫り方をするだろう。・・・・・・この想像は、決して俺の偏見などではないはずだ。
しかし、滝さんも安全と言うわけではない。突然、こんなことを言い出すからだ。


「でも、これを返しちゃったら、ちゃんはもう戻っちゃうのかなー。それは寂しいから、もう少し飲んでいようかな。」

「え・・・?それは・・・。」

「困る?」

「は、はい・・・。」

「じゃ、返しても、ここを離れないでいてくれたら、返すよ?」

「いえ・・・。それでは、他の人に配れないのは一緒なので・・・。」

「そっか。仕方がないね。それじゃ、ちょっとこっちへおいで。」


・・・これは、危険な気がする。ここからじゃ、走っても間に合わないだろう。
それでも、俺は、一応向かってみたが、不思議そうに滝さんに近寄ったは、そのまますっぽり滝さんに抱きしめられてしまった。


「せ、先輩?!」

「こうしたら、離れられないでしょ?」

「滝さん・・・!はぁ、はぁ・・・。何をやっているんですか?!」

「日吉?!」


阻止することはできなかったが、もずっと抵抗していたらしく、俺が息を切らしながら来ると、滝さんはすぐに手を離した。


「あ〜ぁ、邪魔が入っちゃったね。」

「はぁ・・・。・・・の仕事の邪魔をしているのは・・・・・・、滝さんの方でしょう?」

「ん〜。まぁ、そうじゃないけど、邪魔しちゃったのは、俺の方かもね。」


また訳のわからないことを言って、滝さんは立ち上がり、それじゃあと何処かへ行ってしまった。・・・本当に謎だらけの人だ。


「大丈夫か。」

「う、うん。ビックリした。・・・あ。ゴメン。なんか、日吉が来たら、安心して・・・。」


そう言って、は地面に座り込んだ。・・・たぶん、力が抜けたんだろう。全く、滝さんもやはり要注意人物か。


「しばらく休むか。」

「ううん、大丈夫。立てるよ。」


一生懸命立とうとしているに、手を差し出しながら、俺は滝さんも『危険人物』と見なし、下剋上しなければと思った。




***** ***** ***** ****** *****




俺が休憩していると、マネージャーのちゃんがドリンクを持って来てくれた。


「はい、先輩。ドリンクです。」

「ありがとう。いつもお疲れ。」

「いえいえ、仕事ですから!」


そう言って笑うちゃんと話す俺を警戒視しているのは・・・やっぱり。日吉だ。
日吉は素直じゃないからね。好きなら、ちゃんと伝えきゃ。素っ気無くするなんて、問題外だよ。


ちゃんも、飲む?」

「いえ!自分の分も、ちゃんとありますよ?」

「それはわかってるけど。今、喉が渇いてないかなぁと思ってね。」

「ありがとうございます!でも、大丈夫です。」

「そっか。」


こうやって、優しさも見せることが大事なんだ。わかるかい、日吉。
俺が手本を見せているっていうのに、相変わらず日吉は警戒視。・・・仕方が無い。もっと良い手本を見せてあげようか?


「でも、これを返しちゃったら、ちゃんはもう戻っちゃうのかなー。それは寂しいから、もう少し飲んでいようかな。」

「え・・・?それは・・・。」

「困る?」

「は、はい・・・。」

「じゃ、返しても、ここを離れないでいてくれたら、返すよ?」

「いえ・・・。それでは、他の人に配れないのは一緒なので・・・。」

「そっか。仕方がないね。それじゃ、ちょっとこっちへおいで。」


俺はそう言って、ちゃんを手招きする。警戒視していた日吉が何かを感じたのか、走り出したのが見えたけど、もう遅い。ちゃんは不思議そうにしながらも俺に近寄って来て、そのまま俺はちゃんを抱きしめた。


「せ、先輩?!」

「こうしたら、離れられないでしょ?」

「滝さん・・・!はぁ、はぁ・・・。何をやっているんですか?!」

「日吉?!」


日吉が息を切らして来たのに気づくと、ちゃんが物凄い勢いで、俺から離れようとした。
・・・ちゃんは素直だね。こんなところ、好きな人には見られたくないもんね。
素直なちゃんに免じて、俺はすぐに手を離してあげた。


「あ〜ぁ、邪魔が入っちゃったね。」

「はぁ・・・。・・・の仕事の邪魔をしているのは・・・・・・、滝さんの方でしょう?」

「ん〜。まぁ、そうじゃないけど、邪魔しちゃったのは、俺の方かもね。」


仕事の邪魔はしていないつもりだけど、この2人の邪魔をしているかと思って、俺は立ち上がり、それじゃあとその場を去った。・・・・・・でも、そんなに遠くに行くつもりはないよ?


「大丈夫か。」

「う、うん。ビックリした。・・・あ。ゴメン。なんか、日吉が来たら、安心して・・・。」


そう言って、ちゃんが地面に座り込んだのを見ていた。・・・たぶん、日吉に助けてもらって、力が抜けたみたい。


「しばらく休むか。」

「ううん、大丈夫。立てるよ。」


一生懸命立とうとしているちゃんに、日吉が手を差し出していた。・・・意外とやるねー、日吉。
でも、俺の手本をもっと見習うべきだよ、日吉?今後も、ちょくちょく見せてあげるから。期待しとくんだね。













はい、ちゃんと協力してくれるわけがありません(笑)。
私の中で、芥川さんは“悪意の無いイタズラ”、滝さんは“悪意のあるイタズラ”をしながら、2人のことを応援しているイメージです(←どんなイメージだよ・・・!/汗)。でも、皆さん応援はしているんです!それは事実です!!(笑)

それにしても、滝さん。「仕事の邪魔はしていないつもり」って・・・。充分、邪魔してると思いますが??
・・・・・・あ、いえ(汗)。ウソです(滝汗)。何も言ってません、はい(←)。

('09/11/10)